[釣り]コミュニケーション能力が上がるという副次的要素

釣り

釣りは人間的な成長が望めるという話。

釣りに当初持っていた印象

釣りは人対魚のゲームだと考えた。竿を振り回すわけだから隣の人とは離れて立つ。だから、人見知りな上に口下手な自分には、アウトドアな割に諸々込みで自己完結できてストレスフリーなんじゃないかという魅力があった。

そんなことはなかった。

面食らった事案

釣りを始めた当初に小サバの群れが入ってきて、サビキとかで爆釣してた。喜んでたらイキった人が寄ってきて、聞いてもないのに何だサバか、と吐き捨てた。世の中色んな人がいるのは承知してたけど、そんなことある?って感じの想定外の衝撃だった。皆釣りをしに来ているという一体感は心の壁を取っ払うらしい。もしくはたまたまそういう人だったのか。素手で内臓を抜く方法を教えてくれたおじさんはいい人だったけど、イキリ散らす人はお呼びじゃない。

江ノ島は堤防に釣りに行くと人がマジで多い。アクセスが楽だし釣り場としても整ってるので、気軽に行けて人気だろうねというのは分かる。それでもアホみたいに多い。小便器に並ぶかのごとくなので、仕掛けをぶん投げたり魚が走ったらライントラブルを招くレベル。まあそんなに元気な魚はほぼいないんだけど。だから釣りづらい。ヤキモキしながらやってると、掛けた外道をそこら辺に転がす人がいた。手前に話したときはいい人そうだったのにっていう、自分のモラルとは違うものを持ってる人だった。一人で楽しむつもりで行ってるところに人間の評価で落差を感じることは結構なストレスなのでキツかった。

外的要因に対して身勝手は通らないんだなという学びが生まれる。

釣り人と非釣り人

江ノ島なので観光客が来る。海なので磯遊びをする人もいる。そんな方々の中に釣り人への注意が薄い人がいる。いや、釣り人を優先しろって話じゃなくて。

釣りをしてる周りは危ないんですよね。長い棒やら細い糸やら針を振り回してるわけだから、当たったらどうなるのって。バレたときとか根掛かりを外したときとか、釣り鉤がぶっ飛んでくる事がある。当たったらめちゃくちゃ危ないだろって。人にあたったら危ないし、周囲に引っ掛けたら釣りにならないし、割と周囲に気を配りながら釣りをやってるつもりなんだけど、隙間を縫って寄ってきたりする。こればっかりは釣りをやってないと分からんのかなというところもあるんだけど。話しかける分には用事が済んだらいなくなるのでまだいいんだけど、素敵な江ノ島の海をバックに写真を取ろうとする方々はいついなくなるのか分からんし、素敵な写真のためなら周りのことなんか二の次だったりする。

完全に思考が違ってるので何か言おうにも言葉の殴り合いにしかならなさそうで、鬱屈した気持ちで我慢する。それが一番ダメージが少ないと思う。処世術を学ぶ。

おせっかい焼きがいる

釣れないで困ってる人にアドバイスして回る習性を持つ人がいる。多分現地民なんだろう、江ノ島も長いんだろうって感じ。場馴れしまくってるのか性分なのか分からないけど、「魚を釣る」をテーマにガンガン言ってくる。言ったとおりにすれば間違いなく釣れる。ダメなところは詰める。要するに言葉の荒い人なんだけど言ってる内容自体は理に適ってるわけで、とてもありがたい。話の内容よりも話し方を気にする人もいるので合う合わないがあるんだけど、自分が何をしに来てるのかなど要点を整理すれば拒否するもんじゃないよなとか。お上品な言葉のキャッチボールをしに海に来てるわけじゃないよねって。逆に質問したら答えてくれたりとか、関わってメリットしかないよねってくらいの。

人を判断するのはある程度喋ってから。喋らせてからじゃなくて、やり取りを踏まえたほうが他者を判断する精度はやっぱり上がるよねっていう。

民度の把握は大事

民度というか属性というか。

ざっくり言って、堤防と磯は民度が違う。プロムナードと大堤防は似てる。表磯と裏磯は違う。個人的な印象として、優しい人・素晴らしい人は表磯>裏磯>堤防各種の順で多い。多分、人間は数が集まると殺伐とするんだと思う。それが嫌な人は人が少ないところに行く。そういう道理があるんじゃないかと思う。当然、単純に釣りポイントとして選んでるだけとかもある。

自分のキャパによって適した場所は変わってくるんだよという話。

世の中はそんなに厳しくない

今は慣れてきたので過去の話になっちゃったけど。

ポイントが分からなくてさっぱり釣れなくて、でも釣ってる人はいる。手がかりが掴めないで困り果てて、人に聞くしかないよなってなった。

いい歳こいて赤の他人に話しかけるのがものすごく辛い。敵意を向けられたらどうしようとか、言葉選びをミスって気分を害したらどうしようとか、コミュニケーションに都度不安がついて回ってしんどい。でも、そうも言ってられなくなった。行けても週一、金をかけて準備してやって来て釣れませんでしたはしんどすぎて、打破するには人に頼るしかないよって。そもそも釣りに来てるのに変なやつに声かけられたって邪魔に思われたら嫌だなとかあるけど、目的を作って逃げ場をなくして話しかける以外ないじゃないって、誠心誠意で向かっていってダメだったら仕方ないって、自分を誘導して話しかけた。

どんだけビビりなんだよって話だけど、そういう性分なんです。こういうケースにはこう返せばいいとか、予めこうすれば大体大丈夫とか、圧倒的に経験値が足りてない。酒が入れば赤の他人とも喋れるっちゃ喋れるけど、シラフだとめちゃくちゃ抵抗が強い。

話しかけたらいいこと尽くめだった。まず自分のコミュニケーション能力は問題なかったし、丁寧に応対してくれるとてもいい人だった。案ずるより産むが易し的なアレだった。

狙い方だったり釣れるタイミングだったり、よそで調べてもどうにもならない、現地じゃないと分からないことがどんどんクリアになった。それをベースに展開して、おかげでそこそこ釣れるようになった。

顔見知りになったので気軽に話せるようになった。こちらで気づいたことを言えたりして、情報交換的な、双方向的なものができるようになった。とても嬉しい。タモを貸したり釣果を見せびらかしたり、とても楽しい。

これを皮切りに、タイミングが合えば積極的に人と話すようにした。話した人は皆いい人だった。
打算的なものを言えばコミュニケーションのステップアップ、そうでなくても単純に釣りが充実する。色んな人と話せば会話に必要なもの、ある程度の傾向が見えてくる。こんな感じの温度感、流れで話せばいいんだって目安ができると安心して会話ができる。一人で釣りに行かなきゃこんなことにはならなかったと思う。

みんな釣りをしに来てるから、関連する話題であれば食いついてくれる。共通するものがあれば垣根はそんなにない。コミュ障をどうにかしたい人は釣りを始めるのがいいと思った。飲み屋に行くのもいいけどシラフ前提の方が良さげ。劇的に改善した。

保全とか循環とか

教わってばっかりは心苦しさがある。なんだかんだで通ってるわけで、何で釣れるのか釣れないのか考えながら釣りをしてるわけで、情報やら経験値はどんどん溜まった。上達は何より先人のおかげなので言ってみれば恩がある。受け取ってばっかりもアレだし、何かしら返せたらいいよねって思う。

体育会系的な思考かもしれないけど、恩は当人に返すのも大事だけど次の世代に伝えるみたいな、連鎖的な考えがある。釣れない人が釣れるようになる情報は釣りに来てる人に知ってもらいたいと思う。ボウズで帰るほどキツいもんはない。皆ハッピーになれたらいいよねって思う。

そんなこともあって、訊かれたら丁寧に応じたり、困ってる感じがあったらこっちから行くとか、帰る時に人が来たら場所を譲ったりとかしてる。偉そうに指図するとか演説ぶっこくのは調子こいてるみたいで自分で気持ち悪いので、過多にならない程度にさり気ない感じで。場合によっては横で実演して、説明しながら掛けたりして、真実味を重ねたりとかする。それで凄いとか言ってくれたら教わったことが生きてるわけで、めっちゃ嬉しい。

あと、地味にゴミ拾いするとか。善行を積むと釣果が良かったりする。スピリチュアル的な因果を感じる。まあ、そういう感じで返していこうって感じ。

個人が1回の釣りで得られる経験とか情報はたかが知れてる。人対魚の総当たり戦だと思えば、情報は多いに越したことはない。じゃあどうするべきかといえば他の人の釣りを知ることで、交換条件があるとすればこちらの釣りを伝えられる。お互いに得がある、悪い取引じゃないと思う。取引をするためには相手に取り入る必要があり、情報を引き出すためのフローをどうやって構築するか、みたいな、見方によっては社会人的なムーブっぽいのでそういう訓練にもなるんじゃないか、みたいな。できないと上司に怒られるノルマはなくて、単純に自分が得をするためにっていう気安さ、気兼ねのなさがある。

まとめ的なもの

起きることはいいことばっかりではないけど、引き出しがない自分でも正面から色々受け止めたり動いたりしたらいい意味で視野が広がった。なので、やってよかったと思う。コミュニケーション能力の向上ありきで行くとなんなの?って感じになるので、あくまでも釣りに行ったときの副次的な要素として、人としていい感じになれると思う。なんやかんや色々噛み合った結果だけど。

まあこれに関して言えるのは、一人じゃないと何も起きない。人と一緒に行ったらそこで完結するので釣り以外に展開するものはほぼ確実に何もない。良し悪しの話じゃなくて。複数人でワイワイやってるところに首を突っ込む酔狂はほとんどいないし、世界が完結してると他人に教えを乞う選択肢も見えてこない。自分の場合。他の人は知らない。

要するに釣りは楽しい。

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